オトメイト作品コラボ連載

□光の軌跡・外伝/なれば君の盾となりて
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 ラティウム国、ミルス・クレア城内の左端にある兵士育成場から北東に位置する兵士たちの憧れる場―――功績を挙げた者のみがそこへ足を運ぶことの許された、いわば兵士たちの聖地である―――王城の最奥、王族と謁見の叶う謁見の間に、赤髪を揺らしてラギは静かに足を踏み入れた。


 ひたすら視線を前へと向け、ラギは見据える先に穏やかに笑む少女の姿を見つけ、強張っていた顔が僅かに緩むのを自覚した。


 ある程度玉座に近づいたところで制止の声を掛けられ、ラギは静かに頭を垂らして片膝をつく。


 その頭上から降り落ちる柔らかな声が、穏やかに耳朶に言葉を滑り込ませていく。


「この度、西の争乱を鎮圧した功績を称え、王の代行としてラティウム国皇女、ルルがこの場を借りて新たなる称号をひとりの若者に授けます」


 降り落ちてくる言葉ひとつひとつを聴き止めて、ラギはそれが心に染みて胸の奥を震わし、目頭が熱を持つのを自覚した。だが、この場でみっともない姿を晒す気は無く、ひたすらに、必死に堪える。


「――――第二小隊、『装甲騎兵(ルークナイト)』ラギ=エル=ナギル」


「はい」


「あなたに『守護騎士(ヴォルケンリッター)』の称号を授けます」


 告げられた言葉に、片膝を立てて平伏しながら、ラギは何万回も唱えた言葉を口にする。


「ありがたく、頂戴仕ります―――…」


 告げた言葉を浚うように、そよ風がラギの傍を駆け抜けた――…。
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