オトメイト作品コラボ連載

□光の軌跡 / 陰謀に操られし者
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 炎の大蛇と水の龍が互いを滅しようと激しい轟音を立てながら凄まじい波動を生み出す。ふたつの力の爆発による風に吹き飛ばされそうになって、千鶴は思わず鞘走った剣を地に突き刺してそれに耐える。


 しかし、地に浅く突き刺さっただけでは、刀ごと後ろに後退させられて、どうしようもない。


「……う、うぅ…っ」


 気が遠くなりかけたそのとき、柔らかな声が何かを言い放ったのがかすかに聞こえた。


 遅れてふっと軽くなった身体に、いったい何事かと目を丸くしていれば、慌てた口調でいつの間にか傍にいたルルの声が響く。


「―――みんな、大丈夫?!」


「は、はい!」


 反射的に返事をした千鶴に倣うように、其処彼処から無事だと告げる返答が帰ってくる。


 その返事だけでは納得いかなかったのか、桃色の髪を揺らして、周囲にいた全員が大したことがなさそうだと目で確認すると、ルルは安堵したのか肩を撫で下ろした。


「よかった。みんな無事で」


 微笑みながらルルが立ち上がるのを見て、千鶴も慌てて立ち上がる。


「……いきなり、なんで身体が軽くなったんだ?」


 不思議そうに首を傾げるのは、平助だ。巻き起こる突風に気が集中してしまい、何が起こったのかまったくわからないらしい。―――まぁ、自分もそうなので彼のことをとやかく言うつもりはないが。


「障壁ですよ。ルルが、持っていた魔法具を使って光の障壁で空間を包んだんです」


 その問いに答えたのは、年の割には落ち着き払っているからか、身長が後幾らか高ければ間違いなくもう少し目上に見られるであろうエストである。


 そんな彼を見ていると、毎日永倉や原田と騒いでいる平助は、不思議と自分が幼く思えてきて情けなくなるようで、渋い顔をして黙り込んだ。
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