翡翠の雫

□その為なら死んでもかまわない
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 緩やかに壊れていく―――…。


 誰よりも大切な、君との絆が、世界が―――。







「じゃあ暫くしたら来るから、ここで大人しくしてなよね?」


 不気味な笑みを唇に称えた幼子が、それだけ言い置いて自分の下から去っていく。


 陸はその後姿をただ見送って、その小屋の中で静かに瞳を伏せた。


「―――姉さん…」


 脳裏を過ぎる、自分より幾らか小さく、華奢な身体をした少女の姿。長年姉と慕ってきたその少女との血の繋がりは否定され、いまや何のつながりも無い。


 それは、自身の胸中に酷く虚しい気持ちを齎すには充分な要素だった。
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