オトメイトコラボ連載・学園モノ♪

□1.私立レーヴェ学院、守護神寮へようこそ!
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 そんな守護神の人数は学園全体では少ないが、随分多いほうで、今此処にいるメンバーを数えるだけでも随分な人数がいる。どこに目をやっても大抵視界に入ってくる華やかな人間はいるのだから。


 たとえば視線を右に走らせてみれば。


「……うん、できたみたいだね。他に分からないところはない?」


「い、いえっ。今のところ大丈夫です! ありがとうございました!」


「どういたしまして」


 ぺこりと深く頭を下げる女生徒に、ふわりと微笑むのは、初等部の教師でありながら趣味の一環として個人的活動で研究も行なっているという青年―――海棠鷹斗。初等部の教師とはいえ、その知識は豊富ゆえにこういった場に来ると中高の生徒からも頼られている光景はよく見られるものだ。また、彼の父親がここの理事を海棠の大きな収入源である製薬会社と兼任して行なっているらしく、彼を『理事長の息子』として教師たちがどこかよそよそしい態度を取っている、という話を良く耳にする。しかし、彼を慕う生徒は多く、その噂より彼のわかりやすい説明を求めて彼に質問をする生徒も多い。


「うーん……それは難しいな。まぁ、お前の声もまだはっきり聞こえないのは授業で分かってるんだけど」


「す、すみません……」


 落ち込む少年に、頑張れ、と声を掛けて励ますことに熱を入れているのは、芸能科専攻の教師、主に伝統芸能の生徒たちに演技を教えている教師―――蘇芳。幼い頃はそういった世界に身を置いていたらしく、教師となった今では舞台にこそ立っていないらしいが、演技に対する目利きの良さは折り紙つきだと言われている。


「ねぇ、珠洲ちゃん、沙弥ちゃん。これ面白そうじゃない?」


「わぁ、本当ですね。でも、随分分厚い……」


「……読むのに時間と根気がかかりそうですね」


「でも、面白そうだから借りよっか。寮でみんなで仲良く読もうっ」


 無邪気に会話を繰り広げているのは、守護神内で最も仲良くしているという三人組だ。高校二年生の高千穂珠洲と藤森沙弥はともかく、大学二年生の春日珠紀はおそらく守護神として活動しはじめなかったら二人との関わりがなかっただろうと平助は思う。


 無邪気な性格の珠紀に振り回されているようにも見えるが、珠洲も沙弥も顔に浮かべるのは楽しげな笑顔だ。その笑顔に見惚れている連中がちらほら目に付くが、彼女たちが一切気にかけていない―――いや、自分に向けられているとは思っていないのかもしれない―――のは、流石に気の毒だと思う。
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