ワンドオブフォーチュンS

□Only you are seen.
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 待ち焦がれた恋人の姿を視界に認め、ソロは淡く笑う。出会った当初よりずっと長くなった綺麗な桃色の髪が風を孕んで宙を泳ぎ、上気した頬が薄い紅色に染まって少々色香が彼女から放たれている気がした。


「おかえり、ルル」


「ただいま、ソロ」


 笑顔を向けられ、自然と並んだ肩とともに、指を絡めて手をつなぐ。日常的になったそんなささやかなふれあいは、幸せを噛み締めるには十分な温もりを多分に伝えてくる。


「今日はどんなことをしたの?」


「魔法薬を作ったの。後、エルバート先生とイヴァン先生の授業のお手伝いもしたわ」


 無邪気に伝えてくる内容だが、学院内で彼女がどんなことをしているのか、それが知れるだけでとても嬉しい。
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