ワンドオブフォーチュンF

□I want to sleep embracing you closely.
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 ふと麗らかな温もりと共に重みを感じて目蓋を押し上げたエストは、飛び込んできた光景に絶句した。


「…………っ!」


 諸々の言葉を飲み込み、なんで自分がこんな状況に陥ったのがぐるぐると考えるが、眠っていた間のことなど分かる由もなく、思考は空転するばかりである。


「ちょっ……ルル?!」


 兎に角動揺する頭でルルを起こそうと試みることを決断し、その肩に手を掛けて揺り起こすがまったく起きる気配がない。


 どうしようかと悩んでいる矢先、耳朶に飛び込んできた寝言にはからずも赤面する。


「………エスト…大好きぃ……」


「―――――っ!!」


 夢の中まで自分が出演しているのかという嬉しさと同時に、聞こえてきた言葉に諸々の感情が湧き上がってきてしまいどうしようもなくなって、エストは揺さぶられる感情を落ち着けようと深呼吸を試みた。


 そうして意志の力でなんとか落ち着けることに成功した感情だが、それでも完全に平常に戻ったわけではないらしい。


「………僕も、好きですよ」


 らしくないとは思ったが、言葉にしたと同時にエストは拘束されてはいなかった両腕で小さな身体を絡め取る。そうして空を仰ぎ、まだ陽が高いことを確かめてもう少しだけこのままでいようと考えて力を抜いた。


 そうして再びその温もりに促されるように、エストが優しい夢の世界へと旅立つのも、すぐ――――…。




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