ワンドオブフォーチュンF

□切なる想いの行く末は
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「………パーティ、じゃと?」


 胡乱げな様子で復唱したイヴァンは、目の前で艶やかに笑む長身の妹を見上げる。


「えぇ、そうですわ。最近随分と快挙をあげた生徒がいるのですから、それを祝う場を設けては如何かと思いまして」


「学業で成果をあげるのなら、そのことを称える賞でも授与すればいいのじゃ。わざわざそんな場を設けて、生徒が一瞬でも学生の立場を忘れてはいかん」


「何を仰いますの。一瞬でも学生の立場を忘れ、好きなように好きな相手とその場を楽しむのが醍醐味ではございませんこと?」


 ばちばちと火花が舞う。―――凄まじい、凄まじい眼力の勝負である。


 そのとき、こんこんとドアをノックする音が聞こえて、イヴァンとヴァニアは揃って不敵に笑んだ。


「………では、生徒たちの意見を聞くのはどうじゃ?」


「いいですわよ? この催しを生徒たちが一蹴するはずがありませんもの」


 そんな会話の応酬を交わし、ヴァニアとイヴァンは揃ってドアの前に立つ。


「入りなさいな」


 ヴァニアの言葉に応じ、「失礼します」という言葉が紡がれて、ドアを開く音がする。


「すみません、イヴァン先生。少しお伺いしたいことが……」


 入ってきた淡い金髪の少年に、イヴァンとヴァニアは少しだけ目を瞠る。


「? あの?」


「………なんてグッドタイミングなんですの」


「そうじゃな」


 きらりと目を光らせた教師たちの前で、淡い金髪の髪を揺らし、エドガーは困惑したように一言だけ発した。


「………は?」
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