薄桜鬼
□今日という日に負けない様に
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そうして自らの髪のあたりを鏡に晒せば、そこにあるのは―――…
「……シュシュ、ですか?」
「うん。いつも髪結ってるからね」
蒼の中に煌く白い星の形が、酷く可愛らしい。思わず口元を緩めてそれを見詰める千鶴に、気に入って貰えてよかったと、総司は笑う。
「先月のチョコの、お返しに、ね」
「ありがとうございます!」
無邪気に笑う千鶴に、総司はふっと零す。
「……もうひとつ、シュシュ買ったんだけど、いる?」
「え? ふたつも買ってくれたんですか?」
「うん。でも、貰ったチョコはひとつだけだから……」
企むような笑みを刻んで、総司は彼女の顎を持ち上げる。
「……その分のお返し、頂戴?」
そうして重なった唇に驚く千鶴の左手に、触り心地のいいシュシュが乗せられたのに彼女が気づくまで、後数秒―――…。
あとがき