ワンドオブフォーチュンF

□君が好きさえ言えない
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「………私は、邪魔?」


 だが、彼の思惑とはまったく違う考えに、彼女は辿りついてしまったらしい。思わず違うと言おうと顔を上げるが、彼女の悲痛な面持ちにエストは瞳を凍りつかせて硬直した。


 ―――こんなはずじゃない。こんなはずじゃないのに。


 脳裏で駆け抜ける気持ちとは裏腹に、彼女の瞳は彼がかつて感じていた感情に彩られていく。それが、酷く悲しかった。


「………違うんです」


 ようやく、その言葉が喉を突いた。目を瞬かせて涙を止めた彼女に胸のどこかで安堵しつつも、彼は静かに零す。


「……僕はまだ、素直になりきれないんです」


「………え?」


「だからもう少しだけ……もう少しだけ、待っていただけますか?」


 彼がそう言いながら差し出したその包みを、ルルはやや遠慮がちに開く。そうして彼女の瞳に飛び込んだそれは、彼女の涙腺を決壊させるには充分だった。


 そこには、彼女の瞳と同じ色をした石で作られた、ブレスレットと―――…。


『With love , Dear Lulu』


 ―――彼からの、想いが綴られていた。







 僕はまだ、君が好きなんて言葉、連発できるほど素直じゃないから。


 せめて、形が残るように、文章にしてみたんだ。―――君への想いが、決して消えないような、気がしたから。






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