ワンドオブフォーチュンF

□I just wanted an excuse to talk to you.
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「ルル」


「あ、エスト! どうしたの?」


 見つけた少女の名を呼んで―――振り返った少女が自身の名を呼んで。……そんな些細なことで、あれほど胸の中を漂っていた虚無感が一気に失せた。


 そんな自分に少しだけ―――ほんの少しだけ、複雑な気持ちを抱きながらも、彼は口を開く。


「たまには、あなたと勉強でもしようかと思いまして」


「本当? エストと勉強できるなら、きっと分からないところも分かるようになるわ!」


「最初から僕を当てにしないでください。………まぁ、多少なら見てあげますが」


 そんな他愛ない会話をしながら、自分に向けられる満面の笑顔に、エストは仄かな微笑を返した―――…。






 口実などなんでもいい。ただ、僕は君と話すきっかけが欲しいだけなんだから。





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