ワンドオブフォーチュンF
□護りたいんだ、誰よりも。
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「いやあああぁぁっ!」
「ルル!」
悲鳴と共に、愛しいひとの名を呼ぶ声がする。近い。
「離して! 離してよっ!」
「ルル! ルル……ッ!」
「な、なんなんですの!? あなたたち!」
「ここは女子寮ですのよ! 男性の方は出て行きなさいな!」
「……暴力、反対ー…!」
喚く声に、ひたすらに名を紡ぐ声が重なる。さらには非難する声も聞こえてくる。どこだ。彼女の部屋は。
やがて大きく開かれた扉を見つけ、エストはその中に飛び込んだ。
「……望みはある…以前は、純粋な者だったのなら……」
「今闇を得ていようとも……やりようによっては、きっと―――!」
「―――――たとえそうだとしても、僕が彼女を引き渡すはずがないでしょう」
耳を打った声に、一瞬室内が静まり返る。遅れて、自身の名を呼ぶ声がした。