ワンドオブフォーチュンF

□I had no idea about this side of my personality either until I met you that it.
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 辛うじて聴きとめたルルの言葉に、先ほど彼女が自分から逃げた理由を知って納得するに至ったが、如何せんはじめての行事に自分も参列することになったという事実を受け止めきれない。……というより、嬉しいけど若干照れ臭い気分になるので、こんな自分がいたことを受け止めたくないというのが正直な気持ちか。


 しかし、いつまでも受け止めないでいることはできない。


「で、でね? これ、私からラギになの」


 ついに実物を差し出され、ラギはようやく現実に引き戻される。ごくりと生唾を飲み、ラギは小刻みに震える手でそれを受け取った。


 顔が熱い事を自覚しながら、ラギはやや乱暴に綺麗に閉じられた袋を開く。直後、香りだした匂いに、元々育ち盛りゆえの空腹が刺激される。


 数拍の黙考の後―――ラギは無造作に手を突っ込み、中に入っていたチョコレートマフィンをひとつ掴み、頬張るほどに大きく齧る。もごもごと口を動かす自分をじっと見つめるルルの視線が地味に痛い。
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