ワンドオブフォーチュンF
□I had no idea about this side of my personality either until I met you that it.
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「あれ? ラギくんてば、分かってないの?」
「……何のことだよ」
数秒の沈黙の後にそう零したラギが、もし相手にしていたのがビラールあたりなら、懇切丁寧に今日がいったいどういう日なのか説明を受けていたのかもしれない。しかし、実際目の前にしていたのは、快楽主義者の―――面白くするためなら事態を掻き回すことすら厭わない―――アルバロだった。
「たぶん、ラギくんいろいろ貰えると思うよ。体質治ってから随分モテてるみたいだし。貰えるものはたくさん貰っときなよ」
「……は?」
「とか言っている間にも、早速来たみたいだね」
にこやかに言い切って、アルバロはラギから離れていく。いったいどういうことかと問い詰めようと足を踏み出しかけたそのとき、突然くんっとつんのめった。