ワンドオブフォーチュンF

□鼓動の音を次第に強めて
2ページ/5ページ

「……あぁ、考えているうちに、来たみたいだ。……今日は、終わりのようだな」


 そうして、アルバロはルルに近づく。こちらに気づいた少女の瞳が、すっと冷えたのはきっと気のせいではあるまい。


「……待ってたよ、ルルちゃん。一緒に帰ろう」


「………えぇ、そうね! 一緒に帰りましょう」


 事実上は恋人だからか……数拍の間を置いてルルは艶やかに笑み零す。


「それで? 今日は用事があるって先に帰ったんじゃなかったの?」


「もちろん、君に会うためにわざわざ寮から迎えに来たんだよ」


「ふふっ、嘘ばっかり!」


 満開の笑みでこちらの言葉を頭から否定する彼女に、随分とたくましくなったと内心で笑う。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ