ワンドオブフォーチュンF
□鼓動の音を次第に強めて
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「……あぁ、考えているうちに、来たみたいだ。……今日は、終わりのようだな」
そうして、アルバロはルルに近づく。こちらに気づいた少女の瞳が、すっと冷えたのはきっと気のせいではあるまい。
「……待ってたよ、ルルちゃん。一緒に帰ろう」
「………えぇ、そうね! 一緒に帰りましょう」
事実上は恋人だからか……数拍の間を置いてルルは艶やかに笑み零す。
「それで? 今日は用事があるって先に帰ったんじゃなかったの?」
「もちろん、君に会うためにわざわざ寮から迎えに来たんだよ」
「ふふっ、嘘ばっかり!」
満開の笑みでこちらの言葉を頭から否定する彼女に、随分とたくましくなったと内心で笑う。