ワンドオブフォーチュンF
□朝日影の場所
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そんな風につらつらと考えをめぐらせていたとき、背後から穏やかに声が掛かった。
「ルル。どうしまシタカ?」
「! び、ビラールッ」
動揺で声が上擦ったルルだが、それをさほど気にかけずにビラールは微笑んだ。こうして何もかも寛容に受け止めてくれる彼だから、一緒にいても苦にならないし、何か失敗しても許される気がしてくるのだから不思議である。
「ラギとは、一緒じゃないデスカ?」
「え、えぇ…。起きてからずっと探しているんだけれど、見付からなくて…」
気落ちするルルに、ビラールはそっと唇に控えめな笑みを浮かべて、口を開く。
「最近、ラギは故郷を懐かしがっていマシタ。ホームシックにでも、なっているんじゃないでショウカ?」
「えぇ? それじゃあ……ラギは、故郷に帰っちゃったのかしら…」
「それはないと思いマス。ルルを置いて、ラギが帰ることはアリエナイ」
「……でも…それならどこに……ラギの故郷とおなじものなんて、ラティウムには―――…っあ!」