ワンドオブフォーチュンF
□魔滅の祭りはトラブル続き?!/前編
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「ねえみんな! 今から一緒に『豆まき』しましょう!」
「……は?」
異口同音に同じ疑問符を浮かべた声を上げ、眼をしばたたき、今いったい彼女からどんな提案がなされたのかをノエルが皆を代表するかのように復唱した。
「………『豆まき』って、それはいったい、何なんだ?」
「あのね、遠い大陸に伝わる、悪いものを外に追い出すイベントなんだそうよ!」
瞳を輝かせ、今にも力説しそうな勢いで口走るルルの姿に、身体を出来る限り、心は全力で距離をとりながら、エストは冷ややかに問う。
「………それは、あなたがひとりでやっていれば充分なのではないですか」
「ひとりじゃつまらないもの! それに、子どもたちは悪いものを演じる人を決めて、その人に悪いものを追い出すためのアイテムでもある豆をぶつけるらしいの! 面白いと思わない?!」
「むしろ悪いものとなった人が憐れですし、なにより行った後の片づけが面倒そうな行事なので全力で遠慮させていただきたいです」
にっこりと笑んだエストに続き、ラギが口を開く。