ワンドオブフォーチュンF

□In the future , I cannot do it by a calculation
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「ねぇ、ルル! ちょっと聴きたいことがある―――わっ」


「え?」


 ユリウスの声が聞こえたと思って振り返ったルルの眼前に、迫る―――


「きゃあぁっ」


「ぅおっ?!」


 短い悲鳴が響き、数秒。


 ゆっくりと身を起こしたユリウスが、痛みで顔をしかめながらぼやく。


「あたた……しまったな、まだ痺れ薬の効能が切れてなかったみたいだ…」


 髪を掻き毟るようにしてまた改良しなければと次の薬の調合方法を錬るユリウスの耳にも目にも、残念ながら自分が起こした惨劇は見えても聞こえてもいないようだった。


 考えにふけるユリウスを尻目に、身を起こしたルルの眼前には、目を回す小さな赤い竜の姿。


「…………畜生…さっき食べたばっかりなのに…」


 恨めしげな声で愚痴を零したラギが、敢え無く撃沈したのを認めたルルは。


「―――ラギ?! ラギ、しっかりして! 今すぐ食堂に連れてくからっ」


 抱えあげた小さな身体を、しっかりと抱き締め、桃色の髪を揺らして再び肉を得にひた走っていった―――。







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