ワンドオブフォーチュンF
□終わりの見えぬ受難曲(パッション)
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少なくとも、あいつらと話すようなことになっていなくてほっとする。
「……ちょっくら行ってくる」
「え?!」
「こんなふざけた手紙寄越すの止せって言わねぇと面倒なことになるだろ」
そう言って歩き出そうとした瞬間、自分の行動を制止しようとする言葉が聞こえた。
「駄目っ!」
瞬間、背に柔らかなものが突撃してきたのが分かった。一瞬よろめいて踏ん張り、見なければいいのに反射的な反応で後ろを振り返り。
―――盛大な音と同時に、眩暈が襲ってくる。
「……ルル……」
引き攣った声は、普段より幾らか高い。
「――――いつも抱きつくなって言ってんだろうが!!!」
次の瞬間、血管が数十本ぶちきれたことが分かるほどの怒号が轟いた。