ワンドオブフォーチュンF
□終わりの見えぬ受難曲(パッション)
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「―――おい」
「な、何?!」
「……こいつがはじめてか?」
低く問われた内容に、ルルは暫し迷った末におずおずと懐からそれと同じものを数枚取り出した。
「………なんで言わなかった?」
「……迷惑掛けたら駄目だと思って」
項垂れるルルに、ラギは元々きつい眼差しを更に鋭くさせて怒号した。
「―――どう見てもこれはあきらかに俺が無視してるからお前に直談判決め込んだだけだろうが!」
ぐしゃりと手にした手紙を握りつぶし吼えたラギは、びくりと肩を震わせるルルを見つめて、自分が怒りで我を忘れていたことに気が付いて一度感情を鎮めようと深呼吸を試みる。
ふつふつと湧き上がる怒りをなんとか意志の力で落ち着けて、ラギは視線をルルへと向ける。
「……他に何かやられたか?」
「……それ以外は、何も…」
「……そうか」