ワンドオブフォーチュンF

□終わりの見えぬ受難曲(パッション)
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「美味いか」


「うんっ」


 一口サイズのそれはやや物足りなさを感じさせるが、横で嬉しそうにそれを頬張るルルを見ていると、たまにはこういったものもいいかもしれないと思えてしまう。


 随分と彼女に毒された気がして、それが苦笑を誘う。


 それでも、さきほど苛立っていたのがなんだったかと思うくらい彼女といると嫌な記憶も一瞬忘れてしまう。


 そんな自分のあまり深く考えない性質はひとから見れば単純だとか馬鹿だとかいわれるのだろうが。


「……おっし、全部食い終わったしこのまま昼寝でもすっか」


 そう言った途端、目の端で彼女の顔が曇った気がして、ラギは眉を顰めた。


「………どうした」


「……あ、あのね、ラギ。こんなこと言っていいのか分からないんだけど…」


 そう言っておずおずと差し出されたものを受け取って、ラギは目を瞠った。
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