ワンドオブフォーチュンF
□終わりの見えぬ受難曲(パッション)
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「ラギ!」
「んぁ? ……あぁ、ルルか。どうした?」
朝方の出来事の所為で苛立っていたからか、ろくに昼寝する気になれなかった。そのおかげで、今は眠気が半端ない。ゆえに、かなり愛想のない返答だったはずなのに、彼女は機嫌よく自分に笑いかけた。
「あのね、エルバート先生からマカロンを貰ったの! 一緒に食べましょう!」
「お、そういうことなら付き合うぜ。湖のほとりで問題ねぇな」
「ええ!」
大事そうに大量のマカロンの入った袋を抱えて笑うルルに、ラギもつられて笑む。
ふたりで湖のほとりへ向かう間、小さな歩幅で懸命に後ろについてくる彼女が愛おしかった。
「……よし、食うぞ!」
「うんっ」
マカロンの袋を広げて、ひとつ掴んで口に放り込む。横では、甘い味が口の中に広がったのか、頬を綻ばせる彼女がいる。