S.Y.K
□眠れぬ夜
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S.Y.K
玉龍.
「眠れぬ夜」
冬に差し掛かり、道中を歩くこともままならなくなってきた。
「………お師匠様、大丈夫?」
水を操る妖仙だったこともあってか、水に属する雪や氷といったものは、人間になったいまでも大して鬱陶しくは思わない。
しかし、生まれ変わって元から生身の玄奘にとっては、この雪道を歩くのは大変ではないかと、玉龍はいささか心配していた。
「…大丈夫ですよ。それよりも、もうこのあたりで休憩しましょう。これ以上動くのは危なそうです」
「……分かった。洞窟かなにか、見当たらないか探してくる」
そうして、玄奘にはここで待っているように告げて、玉龍はひとりきょろきょろとあたりを見回しながら進む。
やがて、岩肌に入った亀裂が生み出した小さな穴を見つけて、玉龍はそこに背負っていた荷を置くと、付いた足跡を辿るように戻る。
「…お師匠様」
「あ…良いところは、ありましたか?」
「うん」
穏やかに笑み、玄奘の持っている荷を半ば強引に背負い、彼女の手を引いてあの場所へ戻る。
野宿をするとなると、たとえ狭くても文句は言えない。それを分かっているからか、小さな穴の中で一晩明かすことになった二人は、普段より密着して眠ることになるが。
(ね、眠れるはずがありません……っ!)
既に夢の中にいる玉龍が岩肌に背を預け、暖をとるように玄奘を抱き寄せてしまった今、ひとり彼の腕の中で身を硬くするしかない玄奘の顔の熱を冷ますように冷たい大気が肌をさらって行く。
「……んぅ…」
綺麗な翡翠の瞳が閉ざされ、微かに聞こえる吐息。―――心臓が、張り裂けそうだ。
「……お、ししょ…さま…」
零れた寝言と共に、更に強くなった腕の力に、玄奘の身が更に固くなる。
「…す、き……」
その晩、完全に硬直した玄奘が、朝起きた玉龍に疲れきっている理由を問われて、羞恥で顔を染めるのも、必然ではある―――…。
++++あとがき
FDはPSPの方で出たら買おうと思って買っていないんですが。
玉龍と玄奘の本編ED、冬でも旅しているのかなぁ、という感じで書いてみましたが…。
……玉龍が可愛すぎるのはともかく、一体なにを書きたかったのかが全く分からない終わり方ですね、はい。
……………すみません……。
まぁなんというか。
ご馳走様、です。