ワンドオブフォーチュンF
□If you disappeared
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恐れていることがある。
それは、何よりも大切な君が―――。
「―――!」
飛び起きたエストは、暫く胸の動悸を落ち着けるために寝台から降りることができなかった。
なんて不吉な夢だと、心の中で毒づく。
「……最悪な気分で眠る気にもなれません」
深く息を吐き、頭に焦げ付いた映像を振り払おうと頭を振る。
時刻はまだ朝を迎えていない。だが、また再び眠ることはできるはずがなかった。
しかたなく、机に向き合って適当に教材を引き出し、握るペンを紙に走らせる。
いまはただ、あのいやな映像を忘れるためならどんなことでも出来る気がした。