ワンドオブフォーチュンF
□いつか叶えたい夢は
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故郷の緑は、目蓋の裏に焼け付いているほどに、心を揺さぶられるもので。
それが懐かしくて、時折記憶に想いを馳せているらしく、夢にまで出てくる。―――しかも、自らの願望までもを加えて。
―――凄まじい音と共に頭上に星が舞って、ラギは自分が寝台から滑り落ちたことを理解した。
「………ってぇ…」
「大丈夫デスカ。ラギ」
「……これが大丈夫に見えるのかよ」
涙目で訴えるラギに、それだけ口が利けるなら大丈夫だと笑って、ビラールもまた起き上がる。
「ルルの夢を、見て、落ちたデス。……違いマスカ?」
尋ねるように聴いてきたが、その態度は完全に断定しているようにしか見えない。…事実だから、沈黙を通すしかないが。
「……それで、どんな夢、デシタ?」
「応えづれぇこと聴いてんじゃねえよ…」
呻くように言い放ち、ラギはビラールから逃げるようにして素早く身なりを整えると、まだ朝食には早い時間だというのに、部屋から離れた。