ワンドオブフォーチュンF

□寂しさすら翳る笑みに
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「……俺は、お前に泣かせたいわけじゃねーけど、この体質の所為で泣かせてることは重々承知してる。だけどな、俺が寝ているのを見計らって泣き出すのはどうかと思うぞ」


「……だって、ラギに言っても、迷惑でしょう…?」


 この間だって、見て見ぬふりこそしたものの、口付けを交わした後の彼の体に起きた出来事を覚えている。


 それでも彼がそうやって気持ちを行動で示してくれなかったら、きっといまでもすれ違っていたことは確かであることも否めなくて。


「……惚れた女に関して面倒とか迷惑とか考える奴なんかいるかよ。……まぁ、それでも俺の体質もあるから、なかなか叶えられるわけじゃねえけどな」


「…………」


「……もう少し待ってろ、とか言っても、やっぱり不安になるのも、やっぱ俺の体質の所為もあるだろうしな」


「……ごめんなさい」


「なんでお前が謝るんだよ。……全部俺に覚悟がない所為だろうが」


「そんなこと……」
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