薄桜鬼

□語られる詩
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 総司は誰よりも早く行動しただけだ。その思いに気付き、遅れをとったのは紛れもなく自分たちだ。彼を恨むつもりはない。


 ―――だからこそ苛立ちが増すのだ。


 いまだ想いを引き摺って、幼い頃を良く知る仲である総司と千鶴の仲が避けてしまえば、とふいに思ってしまう自分がいる。


 だからこそ、土方は苦悩していた。


 愛しく想う女と、幼い頃を良くしる仲間。―――どちらをとるべきか。


「……どっちも、とかいう選択は、ねぇしなぁ…」


 苦笑して、土方は空を仰ぐ。 彼の心を移しているかのように、その日の空は曇天だった。
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