S.Y.K
□幸多かれと夢に祈ぐ
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どう反応すればいいのか分からなくなってしまった玄奘の耳朶に、突如声が滑り込んできた。
「待ってくださいよ、姉様〜」
「遅いですわよ、銀っ。少しでも良いものを手に入れるために走っているというのにっ!」
………今、ものすごく聞き覚えのある声がしたのだが。
幻聴だろうか、と思う現状の傍ら、玉龍が窓を開けて下を除く。
「……銀閣」
ぼそりと呟いたはずなのに、どうやら届いたらしいその声に、応じる声がふたつ。
「あれ、玉龍さん。お久しぶりですね〜」
「……ということは、三蔵法師も一緒ですの?」
「はい。……お久しぶりです、金閣、銀閣」
和やかに談笑しかけるが、そこではっと金閣が息を呑んだ。