S.Y.K
□幸多かれと夢に祈ぐ
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「…大丈夫ですよ。本当に」
「………」
納得できないのか、安堵も出来ないらしく言葉を発さなくなった玉龍をどうにかしたくて、玄奘は笑顔の裏で考える。
「……そういえば、宿場のひとがさきほど、玉龍になにやら勧めていませんでしたか?」
「あぁ……この町の特産品の話だった」
「それは興味がありますね。一体、どのようなものなのですか」
「……確か、貝細工の髪飾りだよ。ひとつ、買ってみないかって言われた」
「……………」
それは、暗に玉龍の傍にいる玄奘の姿を見たからの発言だろう。彼ひとりでの宿泊なら、まず間違いなくそんな話はしない。