→りみっと←
□バレンタインデー
3ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
服装は中性的な感じなものにしてきたつもりなのだが…。
さっきから視線が痛い
明らかに場違いな自分の存在に自然、溜め息がこぼれる。
だが生憎この後も予定が詰まっていて、とてもじゃないが迷っている暇はない。
意を決して人溜りの中に入ると小さな箱を一つ掴んでレジに直行した。
自分が男だからなのか分からないが店員は少し慌てながらも手際良くラッピングを済ませ、ニコッと最高の笑顔を見せてくれた。
そんな店員に感謝しつつ急ぎ足で店を出ると待っていたのは女の…群れ？
どうやら店でボーッとしている間に噂が広まってしまったようだ。
女の群れの中に男が一人混じっているという虚しい噂が。
気が付けば何本かも数え切れない程の腕がチョコらしき小さな箱を自分に突き付けている。
渡す為に買いに来たのに貰ってしまってもいいのだろうか。
というか、こんなに沢山どうやって持って帰るんだ？