ボロキレノベル

□夏の終わりに
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「おい…!?」
ひらりと開くシャツ、覗くのは白くて滑らかな胸。
其処へ手を這わせると、やはりルルーシュはビクリと肩を震わせた。
「や、め…っ」
上手く話せていない。
彼自らの身体を支えている細腕が、C.C.の顔の横で小刻みに震えていた。
アメジストはじわりと濡れてきている。
なんとまあ、快感に順応な身体になってしまっていることやら。


「……っふ」
耐え切れず、拘束着の女は笑いを零した。そのままくすくすと、静かに笑い出す。
一方のルルーシュは呆然としていた。何が起きたのか全く理解していない様な表情で。
「馬鹿かお前は、冗談に決まっている」
「なっ!」
それを告げた瞬間にまた真っ赤になった顔が面白くて。いよいよC.C.は口元を押さえて笑い出した。
ふざけるな、と吐き捨ててから、舌打ちをしたルルーシュが身を起こす。
「女がそういう冗談を言う物じゃない…!」
「お前は女に何を夢見ているんだ、これだから童貞は困る」
「何度も何度も童貞って言うな!」

怒鳴るその声に力はなかった。表情だって。
…知らない顔だ。
C.C.は目を細めてそんな彼を見遣る。






そんな時だった。
部屋の扉がノックされたのは。
ルルーシュも、そしてC.C.もその音に敏感に反応する。
ナナリーかと思ったのだが、その予想はあっさり裏切られることになる。

「ルルーシュ入っていい?」

今日の客の声。
ビシッとルルーシュの背が伸びた。
見るも明らかに動揺している。さすがのC.C.もこれには少し驚いていた。
視線だけで「こんなに早くくる予定だったのか」と聞く。それが伝わったらしく、ルルーシュは勢い良く首を横へ振った。
「と、とにかく隠れろっ」
なるたけ声を落としてそう指示してくる彼。
それは彼女もわかっていたのだが、如何せん隠れる場所が。

「ルルーシュ?」
「まま待て!まだ駄目だ!」

ベッドの下だ、と指を差され、背を押されるままにC.C.はそこへもぐりこむ。
小柄な彼女にも其処は中々に狭い場所だった。
「おい、こんなところに何時間もいろと言うのか」
「隙を作るから合図したら出て行け」
「…まったくお前は」
「話すなっ」




いいぞ、との声と共に、部屋の自動ドアが開いた。
ベッドと床の隙間から、客の足が見える。
その足は部屋へ踏み込んだものの、入口で止まってしまっていた。
「ルルーシュ…なんて格好してるの」
「え、なんてって、私服だけど」
何か可笑しいか、とベッド上でうろたえるルルーシュの下へ、客の足が歩み寄ってくる。
C.C.の視界一杯に、その靴が映った。続いてギシリとベッドが軋む。


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