ボロキレノベル

□懦夫は逃げ出した
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「…ルルーシュ」


ねぇ、僕の親友。

僕は君を理解できるのだろうか。
何億光年もの遥かな道程を超え、君と巡り逢えるのだろうか。
隣に立って、君の耳元で優しい言葉を囁くことはできるのだろうか。

もしそれが叶ったならば

僕はこんな下らない考えを捨て去ることができるのだろうか。

罪悪感を、不信行為にも値するこの想いを、綺麗に消し去れるのだろうか。
何の後ろめたさも無く、ただひたすらに純粋に、君の隣で笑えるのだろうか。
僕には解らない。


「僕は馬鹿だよね」


こんなことばかり君に同意を求めていたら、また怒られてしまうだろうね。
自分で考えるのが勉強ってものなんだよね。
けれど、ごめん。
考えれば考えるほど、落ちていく。

だからお願い、今すぐ眼を開けて嘲笑って。
お前は馬鹿だよって、いつもみたいに罵って。
俺たち友達だろうって、いつもみたいに強気に言って。

近くにいるって思わせて


「怖いんだ」



ルルーシュ
僕の親友ルルーシュ

君は今、何を見ているの
君は今、何を思ってるの

君は今、何処にいるの


君は

彼は






「…スザク」

心配そうな紫の瞳が覗き込んできた。
覚醒した彼が身を起こし、衣擦れの音が響く。

「どうした」

違うよ、大丈夫。
悲しくも痛くも無い。
涙が出てきただけ。
そう言いたいのに。

「ルルーシュ」
「なんだ」



「君は、誰なの」



喉を突いて出てきたのは、この日初めての、質問だった。








【END】



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