ボロキレノベル

□やめて紙一重
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く、くそう、こうなったら両刃の剣!奥の手で勝負だルルーシュ!!
「本当のこと言ってくれないと…ルルーシュのこと嫌いになるからねっ」

「いいよべつに。ついでに別れるか?」
淡白だなー!!
「う、嘘だよ嫌いになるわけ無いだろ!!どうしてそんな意地悪な事言うんだよルルーシュ!」
「先にそういうこと言ったのお前じゃないか…」
確かにそうだけど、あぁもう。
僕はルルーシュの肩を掴んだ。掴んで、揺さぶった。
「僕は君の事を心配してるんだよ、変なバイトなんかやらせるもんか!僕は君のっ」
君の、君の恋人だと言うのは此処ではあまり筋が通らない気がする。じゃあなんだろう、僕は君の…あぁ、そうだ!

「保護者なんだから!!」

「あ"ぁ!?」
凄い柄の悪い声で怒鳴られた。ついでに睨まれた。
不味い…ルルーシュの全身から酷い不機嫌オーラが立ち上っている。
けれど、眉間に寄っていた皺は、ある瞬間を境にふと消え失せる。かと思ったら、彼はにんまりと微笑んだ。
「ほう、保護者か」
嫌な予感がしたけれど、僕は強かに頷いて「そうだっ」と彼の言葉を肯定した。肯定せざるを得なかった。
ルルーシュの笑みが深くなる。


「なら援助しろ」
「え?」
「保護者なんだろう?援助してくれよお父さん」
「おとーさん!!」
そういう意味で言ったんじゃないのに!!流石にそれはないよルルーシュ!
でもそう言ってしまったのは確かに僕だ。だったら潔く援助するしかない…とほほ。
僕は諦めて鞄から財布を出した。
現在の所持金を確かめる為に、それを引っ繰り返して中身を見る。
紙幣1枚と、小銭が少々。
チッ、とルルーシュの舌打ちが聞こえた。
なんだこの子、いつ親父狩りなんて覚えたんだろう。物凄い怖い。気をつけてナナリー、君のお兄さんは悪の道を行っているよ!

「わからずやが、そういう意味じゃない」
ルルーシュはその紫の双眸を結んで、大袈裟に溜息を吐いた。
よかった、さっきの「チッ」は「こいつ所持金少ねぇな、ハズレか」の「チッ」じゃなかったんだね。お父さん安心しました。
でも、じゃあどういう意味?なんの援助をすればいいんだい?
「手伝えと言っているんだ」
「手伝うって…具体的に何を?」
ルルーシュは笑う。悪戯に笑う。
笑って、僕の胸倉を掴み、グイと引き寄せた。
間近の唇がニッと釣りあがった。

「バイトだよ、バイト」

「駄目に決まってる!!君のバイトだろ、しかも僕はまだ君のバイトを許した訳じゃっ」
「なんだ、反対するつもりでいたのか?スザクのくせに?」
ジャイアニズム!!
いや、彼は元皇子だから帝王学と言った方がいいのだろうか。それにしたってなんていう絶対主義だこれは。専制政治だ、テルールだ。
「だ、だって何のバイトかも知らないし」
「ミレイ会長の紹介だ、危なくは無い」
「いや、それ余計危ない予感がするんだけど」
「つまり援助しないと言いたいのか」
「…そうだよ」
ルルーシュの視線が厳しくなる。睨みあげられた。うぅ…睨まれるのこれで何回目だ、今日。
彼は僕の制服の襟元を握ったまま、耳元へ唇を近づけてきた。
なんだ?
そのままぽつぽつと囁き始めるルルーシュ。
「保護者なのに援助しないのか?その発言を撤回するつもりは?」
「無い…ないないない!!絶対ダメ!」
頑張ったぞ僕、よくぞ否定した。

…けれど、結局僕はその決意を自ら砕くこととなる。
ルルーシュの一言によって。

「そうか残念だ。さようならだなスザク」
「え、な、なんで」



「別れる」



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