ボロキレノベル

□ある種のスペクタクル
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かくして、この祭最大の見所である生徒会副会長ルルーシュ・ランペルージ『ちゃん』のお披露目も無事に行われることとなった。
無論、その隣では狂犬の如く、スザクが警戒の視線を光らせていたのだが。



教室の外から響く黄色い声に応えて、ミニスカートを履いたルルーシュは笑顔で手を振る。
機嫌がいいらしく、いつになくサービス精神が旺盛だ。
「ルルーシュ…」
「スザクも振ってやれよ、喜ぶぞ」
次の授業のためのノートを揃えながら、スザクは苦笑い。
だって、足を組んだルルーシュの白い太腿が、先程から眩しくて仕方が無いから。
寧ろ喜んでいるのはこちらのほうだ…と項垂れる。

「ルルちゃん次移動だよ、荷物持ってあげる!」
男装のシャーリーが楽しげにそう告げてくる。
「ありがとうシャーリー君」
そしてそのノリに乗って微笑むルルーシュ。
令嬢カレンまでも男子制服に身を包み、スザクに笑いかけてくる。
「スザクさんも行こう、荷物持つから」
「や、いいよ!僕は自分で」


いやしかし、全く以って妙な光景だ。
結局のところ、ルルーシュはどこでも難なく世渡りをしていっているらしい。
会長らのテンションにも、着いて行かずとも上手くあわせてしまっている。
幼い頃のあのはねっかえりの気風は何処へやら、だ。
否、自分の前ではいつまでも我儘で気紛れなルルーシュであるが。
それを思惟すると、自然と笑みがこぼれる。
抱き締めたい衝動に駆られる。
(早くお祭り終わらないかな…こんな注目されてちゃおちおち手も出せないや)
遅刻は免れて「ルルーシュと口をきけない」事態は回避したものの、これでは同じことだ。
スザクは溜め息を吐いて机へ突っ伏す。


「具合悪いのかスザク」
その机に腰掛け、彼を見下ろすルルーシュ。
「具合って言うか…機嫌?」
「それじゃやめた方が良さそうだな」
「…なにを?」
見上げた先には、不敵な微笑み。
ルルーシュは身をかがめると、スザクの耳へひとつ囁いた。

「この格好でヤるというのも、一風変わった趣向で面白いかと思ったんだが」

ますます突っ伏した状態から起き上がれなくなってしまった。
これで無自覚なんだから驚きだ…とスザクは赤い顔で呟くのだった。


(あーあ…会長さんに感謝しなきゃな)


人知れずそう思って。




【END】


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