ボロキレノベル

□ある種のスペクタクル
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「会長はお祭り好きだから、色々企画してくれんのさぁ」
女生徒制服を纏った状態でも何等物怖じすることなく、リヴァルは笑う。
「この祭は、1日の間男子と女子の制服を交換するという異色祭!勿論、扱いも入れ替わる訳だ」
彼の説明に首を傾げるスザク。
何処か目もうつろな彼に、リヴァルは更に続けてやった。
「お前は終日『スザクちゃん』になるわけ」
「ち、ちゃん!」
開いた口が塞がらなくなる。
一体何の為の祭りなのだ、何を奉るのだ、と神社の息子は聞いてやりたい気持ちで一杯になったが、其処は黙っておいた。
そして。
(ルルーシュはこの人たちのテンションにずっと着いて来ていたのか…すごいなぁ)
そんな的外れなことに感心してしまうのだった。


そういえば。

「あれ、ルルーシュはまだ来ていないんですか?」
室内に愛しい彼の姿が無いことに気が付いて、スザクはふとそんなことを口にした。
ミレイとリヴァルが顔を見合わせる。
そしてシャーリー。
「ルル逃げちゃった」
「逃げた?」
別に彼女らのテンションに着いてきているわけではなかったらしい。
寧ろ無意味なる抵抗を続けてきていると見得る。
顔を真っ赤にして「やめろ」と抗う彼の姿が容易に想像できて、図らずも苦笑いが零れる。
女顔を気にしている彼のことだ、これほど不快な祭は無いのだろう。

「ちょいっと捜してきてくれない?」
ミレイの申し出。
無論、頼まれれば「NO」を言えないスザクは二つ返事で了解を出す。
すぐに踵を返して出入り口へ向かう彼だったが、その腕を女装リヴァルに捕まれた。
ニヤリと嫌な笑み。
「な、何リヴァル」
「何か忘れてないか〜枢木スザク『ちゃん』」
「!!」


スザクの目に、女子制服を抱えて微笑んでいるシャーリーの姿が入った。




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