ボロキレノベル

□きれいにして、
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見て、とシャーリーが呼ぶ。
窓から顔を出している彼女は、庭の方面を見たまま手招き。
其処へ寄って行ったルルーシュも、彼女の視線を追う。
「なんだよ」
「スザクとアン!」

なるほど彼女の言う通り、庭には向き合う2人の姿があった。
表情を覗う事はできるものの、何を話しているかは距離からして聞こえるはずも無く。
(仲の宜しい事で)
図らずも溜め息が漏れる。
「あっ!」
シャーリーが素っ頓狂な声を上げるので、ルルーシュも改めて2人を見た。

アンが、手紙の様なものをスザクに手渡しているのが見えた。

「わぁうそ、アンってやっぱりスザクのこと」
興奮気味のシャーリー。
対し、ルルーシュはあくまでも冷静だった。
感情の起伏が感じられない瞳で、クラスメイトと幼馴染みの交渉を見詰める。
「…やっぱりって、そんなフラグ立ってたか?」
もちろん、と彼女は強く頷く。
「アンってば、最近急にスザクと仲良くなったじゃない」
「それは、軍人関係だって最近知ったからじゃないのか」
女は本当に詮索が好きだ、と半ば呆れる。

「違うよぉ、だってスザクが転校してきた時から言ってたもん!最近知ったってことはない!」
意外な台詞だ。
思わず目をぱちくりと見開いてしまう。
「じゃあなんで近頃になって急に」
「だからきっと、好きになっちゃって、何か繋がりを探したら偶然そのネタがあって…それをきっかけにお友達から、ってことなんじゃない?」
考えられない流れでは無いが。
ルルーシュはこの性格であるから、素直に彼女を純粋な存在として見ることができなかった。

そう、一言で表すなら
「女って姑息だな」

「何もそこまで…」
視界の端に、苦笑いを浮かべるシャーリーが映ったが、特に気になりはしなかった。


「あ、受け取ったー」
困った顔で、それでも何だか嬉しそうに笑いながら、幼馴染みは彼女からそれを受け取った。
「すっごいね、モテモテだねスザク!」
何が嬉しいのか、はたまたからかうネタが出来てはしゃいでいるのか、ジャーリーは軽くジャンプした。

そして、ニヤリと笑いこちらを振向く。
「ルルは本当に負けず嫌いだねっ」
「はぁ?」
「とぼけてもダメだよーバレバレだもん」
「何を言っているんだ」
頬を小突かれて、反射的に妙な声を上げてしまう。
彼女はそんな彼を見て、また笑う。

「悔しそうな顔してる」

そんなことを言われても。



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