ボロキレノベル

□きれいにして、
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「彼女はね、お父上が正規ブリタニア軍人なんだ」

昼休みの屋上で。
アンとの関係をそれとなく聞いてみると、彼はパンを齧りながらあっさりとそう答えた。
「アンのお父上とは僕も任務をご一緒したことがあってさ、その関係でこの間友達に」
「友達、ね」
スザクが食す、安そうなカサカサのパンを眺めながら。

「気さくでいい子だよ。ルルーシュもきっとすぐに友達になれる」
「よせよ、どうして俺がお前の『友達』と馴れ合わなきゃいけない?」
問うたのはこちらなのに、スザクも首を傾げて「なんで?」などと問い返してきた。
「友達増やすのはいいことじゃないか」
「俺は最低限の人付き合いでいい…何処から正体がバレるかも解らないし」
「あ」
ごめん、と一言。


ちゅるる、とスザクがパックジュースをすする音が響く。
彼のクセ毛を、緩やかな風がもてあそんでいく。
「…あの、それで、帰りは毎日彼女と帰る約束をしたから、暫くはナナリーにも会いにいけないんだ」
「そうか」
「ごめんねって伝えて。今度おみやげ持って遊びに行くからさ。ケーキでも買ってこうか…あぁ、でもお菓子はルルーシュが作った方が美味しいかな」
「さあな」
口数の差は明らかだ。

言いようの無い空気が漂う。
スザクはそんな居心地の悪さにも気付かないでいたが。


「気を遣うな」
玉子焼きを頬張りながら、流れる雲を見上げた。



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