ボロキレノベル

□ピザ曜日
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食欲をそそるチーズの香り。
熟れたトマトの爽やかな香り。
おまけに香ばしいこれは、サラミの香り?

何の話かって
最近ルルーシュの部屋がピザくさいんです。










いや、僕は別にピザが嫌いではないし、寧ろ好きな方なんだけど。
でも食べる機会って少なくはありませんか?
もともと1人で食べるものじゃ無い様な気もするし。
そりゃ、1人用サイズはお店とか行けば色々あるけれど、家でこの香りってことは、当然宅配ピザでしょう?
ああいうのってSサイズもかなりの大きさあるし、うん、やっぱり1人で食べる物じゃないよ。
なのに此処はピザの香りでいっぱいだ。
しかも部屋、ここ自室。
ナナリーに隠れて食べてたり…するのかな。


「犬みたいだなスザク」
部屋の入口で立ち止まっていた僕に、黒髪の綺麗な幼なじみはそう笑いかけて来た。
なんで?と問い返せば
「鼻。ずっとクンクンやってるじゃないか」
と楽しげに弾む声で応答される。
無意識だったから気付かなかった、少し恥ずかしい。
でも、仕方が無いじゃないか。
学校帰りで小腹が空いてるこの時間に、こんないいにおい嗅いじゃったら、堪らなくもなる。


「ルルーシュってピザ好きだったんだね」
僕は素直にそう笑ったのだけど、ルルーシュはぴくりとその綺麗な眉を動かした。
僅かに舌打ちしたようにも見えた。
僕は何か悪いことを言ったのだろうか?
やっぱり隠れた楽しみだったのか?

けれど、ルルーシュが次に僕を見たときにはもう、彼はいつもの薄い笑みを浮かべていた。
「…最近こってるんだ、ポイントを貯めててな」
「仮にも皇子様なのにピザ屋のポイント集めか、相変わらず主婦っぽいなぁ」
「失敬だなお前…」
口では毒を吐くけれど、彼は苦笑いをしている。
特に不快感は覚えていない証拠だ。

「何処のが好きなの?」
「…ピザハット」
聞いたはいいけれど。
やっぱりルルーシュの顔にピザ屋の名前は似合わなかった。
思わぬ違和感に、僕はふきだしてしまう。
だってルルーシュったら、憮然として「ピザハット」なんて言うんだもん。
何だよその可愛い反応。
やっぱり恥ずかしいんじゃないか。

「笑うな馬鹿が!」
それで、僕に笑われて恥ずかしそうにしてるルルーシュも、堪らなく可愛い。
ベッドに座る僕は、目の前に立つルルーシュの腕を引っ張って、開いた足の間に座らせた。
後ろから抱きしめてルルーシュの肩に顎を乗せると、シャンプーのいい香りがする。
「よかった、身体までピザくさいのかと思ったよ」
「それは流石のお前も嫌らしいな」
ルルーシュがくすと笑う。
「そりゃ嫌だよ、僕はルルーシュの香りが好きなんだから」
「はいはいご馳走様」

流されてしまった。
ううん、これが彼なりの照れ隠しなんだってことも知ってる。
そう思うとますます可愛い。
ピザフリークなんていう追加設定すら、可愛く思える。
恋は盲目なんていうけれど、やっぱりルルーシュは誰の眼から見ても可愛いと思います。
言うなればそう、世界で一番。

…犬猫の飼い主ってみんなそう言うよね。
いや、それは関係ないか。



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