らいふ いず びゅーてぃふる!
□その花を、あなたに
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光が、白い羽とともに
さらさらと匂やかに舞う。
朝も昼も夜もない、この世界
天使達は歌を歌い、音楽を奏で
昼寝をし、樹に実っている果実を食べ
そして、背中に生えている立派な翼で
この世界のあちこちを飛び回っていた。
彼らは無限とも呼べる輪廻の中で、自分が違う世界に転生される番を
楽しみながら、ゆっくり、待っていた。
降り注ぐ虹色の雨
その雨を受け、美しく咲き誇る花々
淡く透き通るその花を、傷付けないようにそっと摘み取った。
ちりん、と鈴のような音が聞こえ、少し微笑んだ。
曇ることのない、空を見上げる。
眩しいほどに降り注ぐ光と虹に、目を細めた。
「双翼の大天使さま」
自分を呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと、眩しく輝く剣と優美な装飾が施されている盾を持った守護天使が
急いでこちらへやって来るのが見えた。
両腕に抱えた花束を落とさないように、ゆっくりと立ち上がる。
守護天使はわたしの足元に跪き、顔を上げずにこう告げた。
「双翼の大天使さま、我が主がお呼びです」
「分かりました。ご丁寧にありがとうございます」
感謝の言葉を言う。
守護天使は、元来た道を一直線に戻っていった。
「…さて、急いで戻らなければなりませんね」
ばさり、と音を立てて背中の翼が広がる。
地面を蹴り、ひとつ羽ばたいて宙に躍り出た。