アラカルト
□★TIGER&BUNNY
浪漫と…
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都市・シュテルンビルトの高層ビルの一室にある事務所。
山のように積み上げられている書類を見ながら、虎徹はため息をついた。
「こりゃ、終わらねーな」
「さっきから全然進んでないじゃないですか?」
隣に座っているバニーが厳しい視線で虎徹を見た。
「いやもう。今日は終わりにしようや」
「何を言ってるんですか?虎徹さんが片付けてくれないと、僕の仕事も終わらないんですよ?」
「ああ!もういいんじゃない?明日、朝からするからさ―!」
「そんなこと言って、明日も遅刻するんじゃないんですか?」
ここ連日の遅刻をバニーに指摘されて、虎徹はばつが悪くて話題を変えた。
「それよりもさ―。いつになったら、炒飯、食べさせてくれるの?」
「僕は炒飯なんて作りませんよ」
バニーの作る炒飯を想像しただけで、にやけていた虎徹は、バニーの素っ気ない言葉にショックを隠せなかった。
「なんだよ―。俺が瀕死の重体のときに泣きながら、炒飯の練習してるって言ってたのは、どうなったんだよ」
「ああ・・・そのことですか。あれはその場の雰囲気で言っただけです。まさか本気にしてたんじゃないですよね?」
表情を変えずに淡々と答えるバニーを見てたら、虎徹は意地悪をしたくなって、バニーが座っている椅子をクルクルと回した。
「な・・・っ!何するんですか?止めてください!」
「なあ―俺の快気祝いだと思ってさ、作ってくんねーかな?炒飯。そしたら止めるし」
「・・・あなたは、どれだけ子供なんですか?」
呆れた顔をしたバニーが可愛く思えて、虎徹は椅子を回転させるスピードを緩めて、顔を覗き見た。
「そうやって、焦ってるお前も可愛いぜ」
「なっ!何、馬鹿なこと言ってるんですか?」
虎徹は椅子を回転されるのを止めると、真っ赤に頬を染めて俯いたバニーの顎を持ち上げると、軽く口付けた。
「・・・う・・・こんなところで、止めてください!」
バニーは、焦って虎徹の手を振り解くと周りを見渡した。
「誰もいねエぜ」
「もう・・・虎徹さんは・・・仕方ないですね」