デュラララ!!

□微糖
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「いてっ!」
紀田正臣は顔をしかめながら、腰にあてられてた手を払った。
「乱暴なんだよっ!もっと優しくできないのかよ」
後ろを振り返りながら、悪態をつく。
正臣に覆い被さっていた男、折原臨也がニヤリと口を歪ませて笑った。
正臣の細い腰をさらに乱暴に強く引き寄せた。正臣は腰がひけた姿勢で手足をばたつかせたが、男は正臣の両足を開かせて無理やり突いてきた。
「嫌だってんだろ!
うっ・・」
正臣は腰に響く激痛に思わず身近にあったクッションをだきよせ、その行為が終わるのを待つしかなかった。

ソファーに放り出された正臣は、服を整える臨也に聞こえないように呟いた。
「そんなんだから、静雄さんに愛想つかされんだよ」何気に呟いた言葉は臨也の耳に入り、強く反応してきた。
「シズちゃんの名前を気軽に出すな」
ヘラヘラ笑っていた男の顔が一変したことに気付いた正臣は、なんだか楽しくなって、今度ははっきりと聞こえるように言ってやった。
「ずいぶんな片想いですね。俺なんかを構ってる暇あるんなら、しずちゃんに抱いてください。って頼んできたら、どうですか?」

怒りが満ちた表情を一瞬だけみせた臨也は、またいつもの意地悪い笑いを浮かべて、冷たい視線を正臣に投げてきた。
「正臣くんこそ、あのダラーズの創始者の彼に告白したらどう?
まあ、彼は園原杏里ちゃんと甘酸っぱい青春を謳歌してるだろうから、君の告白はうざったいだけだろうけどね」
帝人と杏里の姿が目の前をよぎった・・ような気がした。
ふいに襲われた胸に溢れてくる想いが淋しさと気付いた正臣は、慌てて自分を否定した。
「オレは帝人のことをそんな風に思っちゃいない!」寝転んでいたソファーに立ち上がって、臨也に向かい吐き捨てるように叫んだ。
「あらら〜正臣くん、何、怒ってるの?」
にやりと笑う臨也の顔は本当に大嫌いだ。
だけど、何か言い当てられてるようで悔しい。悔しくて堪らなくて、奥歯を噛んだ。
あの二人はお似合いだと分かっている。だって、オレが言ったのだから。
「大丈夫?一人で帰れる?」
臨也の声に我に返った正臣は、ソファーの上に仁王立ちになっていた。
しかも全裸でだ。さっき色々した訳だから、今さら恥ずかしがるのもヘンだが、なにしろ相手はさっさと服を着て、何事もなかったようにデスクのパソコンを見ている。この状況を波江に見られて、オレだけバカ呼ばわりされるのも癪だ。と思った正臣は、ソファーの下に投げ捨てられていた服を拾い上げた。

することし終わったら、さっさと帰れーーか、

服をゆっくりと身に付けながら、正臣は臨也がもう少しでも優しさを持ち合わせていたら、この関係も悪くなかったのにな・・と考えていた。


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