スタドラ
□CALM
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静まり返った地下施設にスガタの足音が響いていた。
自分の唇に触れると、そこには生暖かい感触が残っていた。
ケイトとのキスが何かを大きく変えることは分かっていた。
だけど、その変化を進めなくてはならない――。
スガタは誰もいないはずの地下施設のサイバディの前に、人がいてるのに気付いた。
その人は、静止しているサイバディを見上げて笑みを浮かべていた。
「上機嫌ですね」
スガタは後ろから声をかけた。
「ああ・・君か。
君のお陰で、今晩やっと祭りが始まるよ」
笑みを浮かべたまま答えるヘッドは、今しがたスガタがケイトと行ってきた行為を知っているかのようだった。
ヘッドの胸に光が輝いた。
「新しいシルシを手に入れたんですね」
「彼女は君に封印を解いてもらいたいだろうな。
だけど、第1フェーズの君にはできない。俺がサイバディに乗り込んで封印を解く」
「そのために、あなたはシルシを手に入れたと」
「その祭りの場には君もいるんだろう?
ふふふ・・・君の大切な銀河美少年は、どうするだろうな」
愉快そうに笑うヘッドの姿はスガタには儚げにしか映らなかった。
「あなたは、なんて壊れそうなんだ」
スガタはヘッドを後ろから抱きしめた。
そして、胸に手を回して、シルシにそっと触れた。
「このシルシを手に入れるために、どれだけのことをしたのか・・」