中央
□依存の庭
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ここは、依存の庭。
俺の心の中にある。
俺一人のためにある場所。
「エース。」
ビビ王女と旅をしているルフィ達と、エースが合流して何日目かの夜。
クルー達が寝静まり、見張りを買って出たエースの傍に、いつもならお休み三秒のルフィがやってきた。
「なんだ、ルフィ。眠れねぇのか?」
まだ火を留めている焚き火の暖かさのように、エースは笑った。
「そうゆうんじゃねぇんだけど。」
火の明るさと夜の闇のグラデーションのせいか、歳のわりに小さなルフィが更に小さく見えて。
「にーちゃんに甘えたくなったか?」
「…悪りぃか。」
素直に、しかしバツが悪そうにルフィはエースのすぐ隣に寄り添うように腰を下ろした。
「この距離は、俺らの歳じゃあ、ねぇだろ?」
「いいじゃんか。三年前までは…一緒に寝てたろ。」
「……だな。」
ルフィから顔を背けるためか、エースは木屑を焚き火の中に投げ入れた。
「…エース。あと、どんくらい、いる…?」
昼間のクルー達との馬鹿騒ぎとはうって変わったような、弱々しいルフィの声に、エースの胸はざわめいた。
こんなルフィは、あの、自分だけの庭にしかいないはずだ。
死ぬ程、自分に依存する愛しいルフィはあの淋しくて綺麗な庭にしかいない。
「……にーちゃんに、そんなこと言うな。」
「エース。」
「お前はお前の旅をしてんだろ?いまは俺との旅路が交差してるだけだ。」
「ん。わかってるけど、三年だぞ。…エースがいなくなって、やっと逢えた。」
「……ルフィ。」
「俺にとってエースは、アイツらとは違う。」
ルフィは視線を寝ているクルー達に向けた。