復活dream
□豪雨に紛れた嗚咽
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頬がしっとりとしているのは、たぶん湿気のせいだ。
パーカーのフードを深く被り直して雨を凌ぐ。
一気に狭く、暗くなる視界。
見つけた。
その言葉と同時、パシャッという足音、水しぶき。
かかった、冷たい。
「なにしてんの、」
「べつに、なんでもない・・・」
深く被ったはずのフードを、もう一度手繰った。
足元しか見えないほど、深く。
「帰ろーぜ、風邪引くし」
彼の気遣いにも素直に頷けない。
先に行っててよ、そう言って膝に顔を埋めた。
寒さからか手先が震えて、寒さからかずずっと鼻をすすった。
「・・・なにしてんの、」
再び呟かれた言葉に、カチンときた。
理由なんかわからない、ただいつもの武すぎてムカついた。
「あ、たし・・はっ!」
勢いをつけて立ち上がり、大きな声を出す。
驚いた武は一歩引いた。
いつも笑って、なんでもない風で。
頭に蘇る「赤」が、毒々しくて吐き気がする。
それと同時に浮かぶ、毒々しい・・・赤をまとった戸惑う顔。
「あんたの・・あんたの代わりに泣いてんだっ!」
豪雨に紛れた嗚咽
それはあたしのものか、それとも・・・
end
[あとがき]
数年後設定、初めてのお仕事(殺人)。
絶対泣かない、いつもどおりな山本だと思います。
変換なし、すいません。
素敵企画をありがとうございました!
2007.10.07
Minato Ao