復活dream

□豪雨に紛れた嗚咽
1ページ/1ページ

頬がしっとりとしているのは、たぶん湿気のせいだ。
パーカーのフードを深く被り直して雨を凌ぐ。
一気に狭く、暗くなる視界。

見つけた。

その言葉と同時、パシャッという足音、水しぶき。
かかった、冷たい。

「なにしてんの、」

「べつに、なんでもない・・・」

深く被ったはずのフードを、もう一度手繰った。
足元しか見えないほど、深く。

「帰ろーぜ、風邪引くし」

彼の気遣いにも素直に頷けない。
先に行っててよ、そう言って膝に顔を埋めた。
寒さからか手先が震えて、寒さからかずずっと鼻をすすった。

「・・・なにしてんの、」

再び呟かれた言葉に、カチンときた。
理由なんかわからない、ただいつもの武すぎてムカついた。

「あ、たし・・はっ!」

勢いをつけて立ち上がり、大きな声を出す。
驚いた武は一歩引いた。

いつも笑って、なんでもない風で。
頭に蘇る「赤」が、毒々しくて吐き気がする。
それと同時に浮かぶ、毒々しい・・・赤をまとった戸惑う顔。

「あんたの・・あんたの代わりに泣いてんだっ!」





豪雨に紛れた嗚咽

それはあたしのものか、それとも・・・





end



[あとがき]



数年後設定、初めてのお仕事(殺人)。
絶対泣かない、いつもどおりな山本だと思います。

変換なし、すいません。

素敵企画をありがとうございました!




2007.10.07
Minato Ao

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ