復活dream

□フツリアイな君のメロディー
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授業中だろうが関係なくて、後で怒られるのも嫌だけど。
人間の欲望の中で最も我慢できないのは睡眠欲なわけで。
私はその欲望にまかせて目を閉じた。

昨日寝たのが朝方だったのがいけない。

そのまま何分・・・何時間経ったのか、ポーンという聞き慣れない音で目を覚ました。
すでに辺りはオレンジ色に染まっていて、嗚呼これじゃ部活もサボりかなんて愚痴を漏らす、別に誰でもない自分が悪いんだけど。
さて帰ろう、と机にだらしなくぶら下がっているペッタンコな鞄を手に掛けた時、またポーンという音が耳に入った。
まだ誰かいるのかな、軽い気持ちで音の方に進む。
ペタペタと踵を潰した上履きの音と、綺麗なポーンという音が混ざる。
リズム性もなく、ただするだけの音がピアノのものと気付いたのは音楽室を目の前にしてからだ。
縁遠いもんな、と苦笑、授業も取ってないからココに来るのは初めてと言ってもいい。
ポーンと、今度はさっきより高い音が中から聞こえた。
誰がいるのだろう、ドアに手を掛け、開けようとして・・・やめた。
聞き慣れた音、というよりメロディーが、室内から聞こえた。
一度手にした取っ手は、嗚呼もうタイミングか掴めない。
ドアを開ける勇気も出ず、わたしはこのメロディーが何だったのか思い出を辿る。
それと同時にドアの小窓から中を覗いた。
最初からこうしてればよかった。

あ、そうだこの曲・・・

パッヘルベルのカノンだ、そう思い出し、中の人を見てまた驚く。

獄寺、隼人・・・

ジャラジャラとした装飾品、色素の薄い髪、そして知ってはいけない匂いを纏った学校中の人気で噂の、その人で。



フツリアイな君のメロディー

今まで聞いたどれよりも綺麗で、一気に君の虜になった。



2007.11.15.

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