短編集6(小説)

□悪ノ弟
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    「姉さん。僕はずっと姉さんの弟だよ」



君は姉さん 僕は弟

運命分かつ哀れな姉弟

君を守るそのためならば 僕は鬼にだってなってやる


期待の中僕は生まれた 祝福するは馬借の若い衆

大人たちの勝手な都合は 姉さんだけを苦しめ追い詰める


例え世界のすべてが 君の敵になろうとも 僕が君を守るから 君はそこで笑ってて


君は姉さん 僕は弟

運命分かつ哀れな姉弟

君を守るそのためならば 僕は鬼にだってなってやる


姉さんが恋をしたんだ 相手は同じ村の若い衆

その優しい声と笑顔は 彼に会って更に輝いた


もしも君のその黒髪 切り落とすと言うならば 僕は一生悔やみ続けよう 何故なら僕のせいだから


短い髪 切り落とした髪

姉さんだけは笑顔のまま

「今日のおやつ,あんみつだってさ」 君は笑う 綺麗に笑う


もうすぐ姉さんの卒業式 これで姉さんは村の若い衆

彼女は一体何をしたのか 何故姉さんだけが涙流すの


「ほらもう泣かないで,団蔵くん」 「これで君は村の若旦那」 「いいの。私はこのままが好きだから」 「大丈夫団蔵くんは男の子だから」


僕は若旦那 君は若い衆

運命分かつ悲しき姉弟

君を傷つける者がいるならば たとえ清八でも許さない


むかしむかしあるところに加藤村の馬借便

頂点に君臨するはずの とても綺麗な僕の姉さん


もしも君の願い事 いつまでも沈む私に

僕にかなえることができるなら 団蔵くんは笑いかける

真っ先に清八の下へ向かう 涙を拭い前をみたら

「姉さんは君が好きなんだよ」 一緒にいたのは清八さん




    「僕も清八も,姉さんが好きだからさ」




君は姉さん 僕は弟

運命紡ぐ麗しき姉弟

君の望む幸せのためならば 僕は鬼にだってなってやる



    「もしも生まれ変われるなら,その時も姉さんと一緒がいい」




ノ弟
    「加藤村の馬借便ですっ!判子お願いします!」


遠くの村で彼を見た

若旦那としての自覚 彼女の弟という試練 そして,姉を守る決意


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