短編集6(小説)

□悪ノ娘
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    「さぁ。始めましょう」



むかしむかしあるところに加藤村の馬借便

頂点に君臨したいた 齢十五の女ノ子

誰にも負けないその笑顔 齢の離れた男ノ子 愛馬の名前は『   』

すべてがすべて幸せのまま...


"御金が足りない"というならば 私の小銭を分けましょう

"逆らえる存在"なんて 最初からありはしない



    「加藤村の,馬借便です」



悪ノ花 可憐ニ咲ク 彼女を蝕みながら

誰もが誰も気付いてる それでも誰も振り向かない


馬借家少女が恋するは 同じ村の若い衆

だけども想いは伝えない 何故なら私の片想い

悲しみに浸る女ノ子 昨日の夜流した涙 綺麗に綺麗に拭い取って

今日は今日の笑顔みせる...


大事な弟連れ去られ 奴等は私にこういった

"弟を返して欲しいなら その髪を切り落とせ"



    「...それで済むのなら」



悪ノ花 可憐ニ咲ク 彼女は棘に血を流し

愛しの彼は気付いてくれる? 嗚呼気付かないならそれでいいの


馬借家少女は決めました 全ては全て弟のため

私は身を引きましょう だって彼は男ノ子

積もりに積もったこの想い 結局知るのは私だけ

長年言われ続けてた 言葉の棘より痛くない


ついに学園の卒業式 若い衆たちの仲間入り

可愛い私の弟が 泣いていた気がした



    「いいの。私はこのままが好きだから」



悪ノ花 可憐ニ咲ク 変わらない戒めは

いつまで少女を蝕んで 涙を種に生きていくの?


むかしむかしあるところに加藤村の馬借便

頂点に君臨してた 齢十五の女ノ子

愛しの彼に隠していた 想いは自然と紡がれて 

弟の笑顔と彼の笑顔 私の笑顔は屋根の下


数年の時が立ちました 私も彼も笑顔のまま

風の如き走り抜ける 私達は馬借便



    「私,ここにいられてよかった」



悪ノ花 可憐ニ散ル 私はここにいます

彼は彼女の手をとって 今日も前を向いてます




ノ娘
    「加藤村の,馬借便です。判子お願いします」


近くの村で彼女を見かけた

変わらない笑顔と 悲しい瞳が消えていたよ


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