雨の一滴
□今、自分が出来る事
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「ほな、うちは出かけますかねぇ?」
そう言うと殺人鬼の男はリビングの出入口へと足を向けた
「傑」
白いソファーに座って朝刊を読んでいた男は殺人鬼の男を呼び止める
「……なんどすか浬はん?」
呼び止められた殺人鬼、否傑は白いソファーに座っている男、浬に視線だけを送った
「あの人は、馬鹿だったけど意外と使える人だったんだよ?まぁ馬鹿だから傑に殺されちゃったけどね」
キシリと音を立てて浬は白いソファーから立ち上がると傑の元へと足を運んだ
「そないな事を言いはっても、うちはやっぱり理解できまへんわ」
傑はこちらにゆっくりと向かってくる浬に体を向けた
「理解?そんなのしなくてもいーよ、だってどうせあの人は捨て駒だったんだから」
浬は傑の所に着くとそっと傑に抱き着いた
「浬はんにこないな言われようされはるなんて、一体あのお方は何をしたったんだか」
くすりと笑って抱き着いている浬の頭を撫でる
「…それは、なぁーいしょ」
浬は傑の行為を甘んじて受け入れる
傑の胸元に顔を埋めて微かに香る血の臭いを嗅ぎ止めるとポツリと言葉を零す
「ほーんと、馬鹿ばっかり」