儚き月。
□新な破壊者は月のように儚く、
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ガタン、ゴトン、
ガタン、ゴトン、
第一夜、
人が殆どいない汽車に、目立つ黒いコートを着た二人組がいた。黒い長い髪を一つに高く結い上げ、ポニーテールの様な髪形の青年に、赤髪に眼帯をつけている青年――エクソシストの神田ユウとラビだ。
二人はここ、イタリアにて、新人エクソシストをつれて帰るのが今回の任務である。
「ふぁ〜あ…」
「‥‥」
あまりに長閑(のどか)な時間に、今が任務中だというのを忘れそうになる。それに、任務続きだった疲れに暖かい日差し、心地のよい揺れ。
二人の瞼が重くなるのは必然だった。
睡魔に負けたラビは、スースーと、心地のよい寝息をたてていた。
かくいう神田も重くなる瞼を閉じまいと、睡魔と戦っている最中だった。
「‥…めんどくせ‥‥」
日頃の任務より楽で緊張感のなに今回の任務は神田にとっては不服だった。
普通、このような任務はファインダーの仕事だ。だが、今から行く場所はファインダーにとって死にに行くようなものだった。
それは、
AKUMAの巣のような場所だったからだ。
しかも新人は、わざわざ自分からそこで待機すると言ったらしい。
「(物好きな奴もいるんだな‥‥)‥‥‥‥ふぁ」
そうして神田は睡魔と戦いながら、ラビは心地好く眠りながら目的の駅についた。
それはつかの間の休息