猫のお話

□○○少年的猫バカ放浪記
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雉も鳴かずば撃たれまい。猫バカも鳴かずば打たれまい(泣)



切欠はほんの些細な出来事だった。
いつものようにC.C.がピザを注文し、届けられたピザに辛い辛いハラペーニョがトッピングされていた。そしてそれを『辛いにゃーっ!』と言いながらも食べたぬこぬ皇帝陛下がすっかり気に入ってしまっただけである。
「うおーっ!辛いにゃ辛いにゃ!でもこの辛さがたまらにゃいにゃ!クセににゃるにゃ!」
ぬこぬ皇帝陛下は辛さのあまり鼻水を垂らしながらもピザをあむあむと食べている。
「うう、この辛いの食べてたら、昔スニャクにヒドい目に遭わされたことを思い出したにゃ」
一緒にピザのご相伴に預かっていたミレイの目がギラッと光った。
「えっ?えっ?僕なんかしたっけ?」
慌てたのはスザクである。慌てるあまり辛さに咽せ、目を白黒させながら必死に『ヒドい目に遭わせた』内容を思い出す。
「ひ、ひょっとしてアレかな?君と僕が初めて出会った時、僕が一方的に君をぶん殴っちゃったことかな?」
ミレイの目がまたギラッと光る。
「ん〜?ああ、そんにゃこともあったが違うにゃ」
だがぬこぬ皇帝陛下は首を横に振った。
「えっ?違うの?じ
ゃあアレかな?枢木神社に住むことになった君達に、まともな部屋じゃなくて汚くて薄っ暗い土蔵をあてがったこと?」
またまたミレイの目がギラッと光る。
「あれはお前のオヤジがやったことでスニャクのせいじゃにゃいにゃ。でも『俺の秘密基地を盗った』ってイジメられたけどにゃ」
ぬこぬ皇帝陛下はそれも違うと首を振る。
スザクはますます慌てた。
「えっと…他に何かしたかな?あっ!アレかな?君が目の見えないナナリーに土蔵を『綺麗なお部屋だよ』って言って安心させようとしてるのを『嘘つくな、汚ねえ土蔵だろ』ってバラしちゃったこと?」
ミレイがスザクをじっと睨んでいる。
「あれでニャニャリーはがっくりしちゃって俺もお前を恨んだが違うにゃ」
ぬこぬ皇帝陛下は全然違うと首を振った。
「じゃあなんだろう?あっ、アレかな?君とかくれんぼした時、僕が鬼で君が上手に隠れちゃってみつからないからって断りもなく勝手に止めて帰っちゃったこと?」
ミレイの目がどんどん怖くなっていく。
「あの時はスニャクが探しにくると信じて薄暗くにゃるまで隠れてて、雨まで降ってきちゃって俺はべそをかきにゃがら土蔵に帰ったが、それじゃにゃいにゃ」
ぬこぬ皇帝陛下は、思い出せにゃいのかにゃあ?と首を傾げた。
「じゃあアレかな?秘密基地を貸してやる家賃だって言っていつも君のおやつを半分以上取ってたこと?」
ミレイの目はもう怖くて見られない。
「おやつ半分以上取られるのは子供心にゃがら傷ついたものにゃ。でも違うにゃ」
「ひいい!他に何があった?思い出せ、俺!あっ!アレだ!君を落とし穴に落として上から泥水かけて笑ったことだ!」
とうとうミレイの目に隠しようのない殺気がこもった。
「スザク?あんた随分ルルちゃんにヒドいことしてたのねえ?ちょっと私と話し合いましょうよ」
ポンと肩を叩かれて、スザクは恐怖に凍りついた。
「あらあら、そんなに緊張しなくても良いのよ?私、今『こんにちは皇室』のとっても良い企画を思いついたからスザクに協力してもらいたいだけ」
にっこり笑いながら淡々と話すミレイの怖さは良く知っていたつもりだが、今日はいつにも増して凄まじく怖い。
「か…狩りはイヤですぅ…」
スザクが辛うじて小さな声で希望を訴えてみると、ミレイは怖い笑みを深めた。
「おんなじものばかりやってたら視聴者だって飽きるでしょう?狩りじゃないから安心しなさい」
全然安心できませんからーっ!ミレイさんの笑顔がいつもより数倍増しに怖いから、僕にとっては狩りより過酷な罰が待っているんですねー
っ!わかりますーっ!とはスザクの心の叫びである。
数日後、朝スザクが目覚めてみると、そこは見知らぬ異国の街角であった。
通りすがりの人達が、もしや行き倒れ?と言う目でスザクを眺めている。
「えっ?なにっ?ここどこっ?僕に何があったのっ?」
飛び起きたスザクは、彼をここまで運んできたらしいスタッフから1通の手紙を渡された。
『スザクくんへ。しばらく世界旅行を楽しんで下さい。ちなみにニャイトオブゼロの身分証とお財布はこちらで預からせてもらうわね。お金が欲しかったら行く先々で仕事を探して働かせてもらうように。今日のお昼頃にはカメラマンがそちらに行きます。楽しい世界旅行記が放映できるように頑張ってくださいね。ミレイより』
手紙を読んだスザクの顔色がスッと青ざめた。
「こんにちは皇室で電○少年やる気なのっ!?ミレイさーん!」
スザクの叫びが朝の爽やかな空に吸い込まれていった。


「で?ルルちゃん?スザクにヒドい目に遭わされたって、どんなこと?」
「あのにゃ、子供の頃、スニャクんちの軒下に赤い実がついた植物が束ににゃって吊されてたにゃ。その赤い実をスニャクが『あれ、料理に使うと美味しいんだぜ』って言うから俺は1つ食べてみたんだにゃ。そしたらとんでもにゃく辛くって口から火が出るようにゃ思いをしたにゃ。唇と口のにゃかがしばらくヒリヒリしててヒドい目に遭ったにゃ。赤い実はええと…『鷹の爪』っていったかにゃ?」
抑えきれないミレイの笑い声が響くペンドラゴン皇宮であった。





スニャクの無一文世界旅行の始まりにゃ。
スニャク頑張れ〜。たまには俺が応援物資を送ってやるからにゃ〜!

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