力強いお話

□ルルたん無双〜覚醒 の 白き 騎士 …みたいな?〜
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第2章〜その1〜

神聖ブリタニア帝国…皇帝の居城、ペンドラゴン皇宮の奥、皇帝の権威を示す豪奢な謁見の間の玉座で、シャルル皇帝はその知らせを受け取った。
旧知である緑の髪の魔女からの、たった数行の短いメール。
だがそのたった数行が、世界の3分の1を支配する強大な帝国の皇帝を、恐怖かつ不幸のズンドコに叩き込んだ。
『やっちゃった…バグ取っちゃった…あの子復活DEATH……スマソm(_ _)m』
それを読んだ瞬間、ザザーッ!と音を立てて引いていく血の気。
傍らから、一体何が?と覗き込んだナイトオブワンは、文面を理解した途端、脱兎のごとく玉座の後ろに逃げ込み、ガクブルしながら『ブリタニア、オワタ\(^o^)/』と呟いていた。
そして、その様子を目撃した第2皇子は、眠っていた猫が猫缶を開ける音に反応する時のように目をカッと見開くと、こけつまろびつしながら自分の執務室へ駆け戻り、こんなこともあろうかとエリア11へ派遣しておいた優秀で変人な科学者に連絡を取るのだった。

さて、話はエリア11のルルーシュの元に戻る。
テロリスト達が使用していたと思しき無線機を拾い、赤い髪の少女のことやこれからどうやってこの辺のテロリスト達を掌握するかとか、さっき再会したばかりのスザクの印象が昔とかなり違っているとか、謎の女の正体と行方とか、晩ご飯までに帰らないとナナリーが心配するなぁとか、クロヴィス総督がシンジュクゲットー潰滅のためにバカスカ撃ち込んでくる砲弾の雨の中、埃まみれで歩いて帰るのはいやだなぁとか、目まぐるしくクルクル考えていたルルーシュだったが、突如壁をぶち破って現れたKMFに、目をパチクリとさせた。
「学生がこんな所でなにをしている!?」
対人用の機銃をこちらに向けながら、KMFの外部スピーカーを通して詰問してきたパイロットの声は、女性のものであった。
「私の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。父はブリタニア帝国皇帝だ」
「…………………はい?」
しばし沈黙タイム。ややあってルルーシュは軽く咳払いした後、改めて言った。
「私の名はアラン・スペイサー。父は侯爵だ。ちょっと観光のつもりでシンジュクゲットーに来たのは良いが、テロに巻き込まれてこのザマだ。ブリタニア軍に保護を求めたい」
「ちちちちちょっとお待ちください!つい今しがた、なんかスッゴいビッグネームを聞いたような気がするのですがっ!?」
外部スピーカーから聞こえてくる女性パイロットの声は、狼狽して上擦っている。それに加えて、バサバサと紙の束を捲るような音。
ルルーシュが『拙いな、逃げるか』と思ったのと、女性パイロットが『アーッ!』という悲鳴に近い声をあげたのは同時だった。
それからコックピットから出ようとしたものの、慌てすぎてどこかにぶつかったような音も聞こえてくる。
「今のは頭…だな。相当良い音がしたから、たんこぶくらいできているかも」
ルルーシュがそんな推理をしている内に、女性パイロットはコックピットから降りてきて、ルルーシュの目の前で膝をついた。
「お探し申し上げました、ルルーシュ皇子殿下!」
「な、なにっ!なぜ俺のことをっ!?」
「えっと…先ほどご自分で名乗られました。ですがご安心ください。私はブリタニア皇帝の命令で動いている訳ではございません。ルルーシュ皇子殿下をお探し申し上げている上司の命令で動いております」
「その上司は皇帝の命令で俺を探しているんだろう?安心できる訳ないじゃないか」
ルルーシュは、この女にもとっととギアスをかけ、ついでにKMFももらってしまえと、口を開きかけた。だが…
「あの方は以前から皇帝陛下の命令はガチ無視でございます。ですからどうかご安心を」
「お前の上司とは誰だ?」
「はい、ジェレミア・ゴッドバルト卿でごさいます。申し遅れましたが、私はヴィレッタ・ヌゥ、ジェレミア卿よりルルーシュ皇子殿下の武勇伝を聞き、貴方様に憧れておりました」
そしてヴィレッタは、『言っちゃった、キャ!』と、赤くなった頬を両手で押さえている。
「ジェレミアだと?懐かしい名前を聞いたな。彼は元気なのか?」
思いかけず懐かしい名前を聞いたルルーシュの口元が綻ぶ。
「はい、ルルーシュ殿下が戦争のドサクサで行方不明になられた後、すぐにエリア11となった旧日本に渡られ、殿下の行方を探しておられました。殿下が見つかったと知れば、どんなにかお喜びになることでしょう。ささ殿下、私がご案内いたします、こちらへ」
ヴィレッタが自分のKMFのコックピットへ案内しようとすると、ルルーシュは首を横に振って断った。
「何故です?ジェレミア卿が本国に殿下のことを報告する心配なら、決してございません」
「ああ、それは心配していない。ジェレミアなら俺のことを皇帝にバラす筈がない。そうじゃなくて、俺には今やらなくてはならないことがあるんだ」
「では、不肖このヴィレッタ・ヌゥがお手伝いさせていただきます!さあどうぞ、何なりとご命令を!」
ヴィレッタは、少女のように頬を紅潮させて叫んだ。
「そうか、では君のKMFを寄こせ。それで俺はこの辺のテロリスト拾いに行く」
「え?テロリスト狩りではなく、テロリスト拾いですか?そんなゴミ拾いみたいにテロリストを拾ってどうなさるおつもりですか?」
不思議そうな顔で尋ねるヴィレッタに、ルルーシュは得意げに答えた。
「俺だけの軍隊を作ってブリタニア帝国とガチ勝負する!そして勝って勝って勝ちまくり、クソ親父とクソ伯父貴のロール髪と平安貴族女性モドキのズルズル髪を毟り取り、ギャン泣きさせて慰謝料をぼったくる!俺と母さんの復讐のため、ブリタニア皇帝を精神的にぶっ壊す!!」
「すっ…ステキです!殿下!私はいつまでもどこまでも貴方様と共に!一生殿下についていきます!」
こうしてルルーシュは、手駒を1つ手に入れた。
ルルーシュはレベルアップした。
魔王度が10上がった………
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